戒壇とは、もともとインドお釈迦様の弟子になった者が、出家者としての戒を受けるために登った土で出来た壇である。中国、日本渡って来るにつれ石で作られるようになった。仏教において非常に大事な儀式の為の施設である。こういう大事な物が石で作られていると云うことが愛石家としては、興味深い。 翌日の早朝全日空ホテルの裏手の丘を登って行くと、そこには有名なグラバー邸があった。またこの丘をグラバーの名を取って、グラバーヒルという。このグラバー園を散策して、美しく晴れ渡った空を映して青い海、そこに浮かぶ船などを眺めているうちに、奇妙な石の門のある一軒の邸宅の前に私は立っていた。 門の上には、定規とコンパスの絵が彫られている。当時のフリーメーソンの邸宅だそうである。この門柱は、天草で取れる砂岩で出来ており、建てたのはイギリスから来た石工達だそうである。 世界中に広範囲に存在する秘密結社のフリーメーソンとは、自由な石工の意味であり、エジプトのピラミッドなどを作った人々が起源とも云われている。その組織は、元来石工仲間に限定されていたが、大聖堂の建築期が十七世紀に完了し、石工たちの仕事の機会がへった頃、ことにイングランドでは宗教改革期に、富と社会的地位をもつ人々が会員としてうけいれられた。こうしてフリーメーソンは博愛、平等、平和といった普遍的理想のために献身する結社に変化したそうである。 しかし、フリーメーソンは、歴史の裏面でフランス革命、ロシア革命などを遂行させ、日本では、グラバーその人も会員であり、その婦人ツルを通じ坂本龍馬等の志士を援助し、明治維新を断行させ、日本を開国させたようである。坂本龍馬の持つ、当時の日本人としては、非常に進んだ共和制やアメリカの大統領制等の知識もグラバー等のメイソンによってもたらされたのであり、維新断行の武器を提供されたことも周知の事実である。フリーメーソンは、今日でも世界の権力の裏側から歴史を動かしているそうである。私たち石の会員も良い意味で世の文化に影響を与え続けたいものである。
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